ObsidianとCosense(旧Scrapbox)は、どちらも「ノート同士をリンクでつなげる」ツールです。
どちらを導入するか迷ったときには、「リンク機能があるか」以上に重要なポイントがあります。
結論、一人で考えを育てたいならObsidian。チームで知識を共有したいならCosense(旧Scrapbox)。
と考えていただければOKです。
この記事では、ObsidianとCosense(旧Scrapbox)の違いを、保存場所、共同編集、リンク機能、Markdown、カスタマイズ性、AI連携、料金などの観点から比較します。
なお、Cosense(旧Scrapbox)は2024年5月21日からサービス名が Helpfeel Cosense に変更されています。旧名称でも検索されることが多いため、この記事では「Cosense(旧Scrapbox)」として扱います。
ObsidianとCosense(旧Scrapbox)は「知識を置く場所」が違う
ObsidianとCosense(旧Scrapbox)は、どちらもノート同士をリンクできますが、明確な違いがあります。
Obsidianは、自分の手元に知識を置くツールです。
読書メモ、仕事メモ、日記、調査メモ、記事の下書きなどを、自分のPCやスマホの中にMarkdownファイルとして残します。あとからリンクでつなげ、考える材料として育てていく感覚に近いです。
Cosense(旧Scrapbox)は、共有スペースに知識を置くツールです。
ブラウザ上でページを書き、複数人で編集し、メンバーの気づきやメモをリンクでつなげていきます。社内Wiki、研究室、コミュニティ、プロジェクトのナレッジ共有に向いています。
ざっくり分けると、以下のような用途がオススメです。
- 一人で考える、書く、蓄積するならObsidian
- 複数人で共有する、追記する、会話するならCosense(旧Scrapbox)
- ブラウザだけで手軽に始めたいならCosense(旧Scrapbox)
- AIやプラグインと組み合わせたいならObsidian
機能の多さで比べるより、「知識を自分の手元に置くのか、チームの共有場所に置くのか」で考えることが重要です。
比較早見表
2つのツールの特徴について比較しました。
両者の特徴についてはこのあと説明します。
| 比較軸 | Obsidian | Cosense(旧Scrapbox) |
|---|---|---|
| 主な用途 | 個人の思考整理・知識管理 | チームのナレッジ共有 |
| 保存場所 | ローカルのMarkdownファイルが基本 | クラウド上のプロジェクト |
| 共同編集 | 工夫すれば可能だが個人利用寄り | リアルタイム共同編集に向いている |
| リンク | 内部リンク・バックリンク・グラフビュー | リンク・バックリンク・2-hop links |
| 記法 | Markdown | Cosense(旧Scrapbox)独自記法 |
| カスタマイズ | プラグインで大きく拡張できる | すぐ書ける軽さを重視 |
| AI連携 | ローカルMarkdownをAIに渡しやすい | チームナレッジの蓄積場所として使える |
| 向いている人 | 一人で長く使う知識ベースを作りたい人 | 複数人で気軽に情報を残したい人 |
Obsidianの特徴
Obsidianは、Markdownファイルをローカルに保存して使うノートアプリです。
ノートは自分のPCやスマホの中にプレーンテキストとして保存されます。アプリを使わなくなっても、Markdownファイルとして中身を開けるのが大きな強みです。
Obsidianの特徴は、次のような点です。
- ローカル保存が基本
- Markdownで書ける
[[ノート名]]で内部リンクを作れる- バックリンクで参照元を確認できる
- グラフビューでノート同士の関係を見られる
- プラグインで機能を拡張できる
- オフラインでも使える
特に強いのは、個人の知識管理を自分好みに育てられること です。
たとえば、読書メモ、仕事のプロジェクト、日々のジャーナル、ブログの下書き、AIとの対話ログなどを一つのVaultに集めて、リンクでつなげていけます。
Obsidianの基本から知りたい場合は、先に「ゼロから分かるObsidianの使い方|初心者が最初に知るべき基本操作」を読むと全体像をつかみやすいです。

Cosense(旧Scrapbox)の特徴
Cosense(旧Scrapbox)は、Helpfeelが提供しているクラウド型のナレッジ共有ツールです。
ブラウザ上でページを書き、リンクでつなげ、複数人でリアルタイムに編集できます。ページ単位で情報をきっちり分類するというより、短いメモをどんどん書いて、リンクで自然につなげていく感覚に近いです。
Cosense(旧Scrapbox)の特徴は、次のような点です。
- クラウド保存が基本
- ブラウザから使える
- 複数人でリアルタイム共同編集できる
- 双方向リンクに対応している
- 2-hop linksで関連ページを発見しやすい
- ページごとのURL共有がしやすい
- 社内Wikiやチームのナレッジ共有に向いている
Cosense(旧Scrapbox)が強いのは、書くハードルの低さと共有のしやすさ です。
誰かがきれいなドキュメントを完成させてから共有するのではなく、途中のメモや気づきをその場で置いていく。あとから別の人が追記したり、関連ページにつなげたりできる。
この「未完成のまま共有できる軽さ」がCosense(旧Scrapbox)らしさです。
比較1:保存場所はローカルかクラウドか
ObsidianとCosense(旧Scrapbox)の一番大きな違いは、データの保存場所です。
Obsidianは、基本的にノートをローカルに保存します。自分の端末上にMarkdownファイルが残るので、データを自分で管理したい人に向いています。Dropbox、iCloud、Google Drive、Git、Obsidian Syncなどを使えば、複数端末で同期することもできます。
一方で、Cosense(旧Scrapbox)は、クラウド上にデータを保存します。ブラウザでログインすれば使えるので、端末を選ばず、チームメンバーとも共有しやすいです。
Obsidianは「自分の手元に知識を置く」感覚であり、Cosense(旧Scrapbox)は「共有スペースに知識を置く」感覚です。
個人の思考ログ、長期的な知識資産、外部サービスに依存しすぎない管理を重視するならObsidian。チームで同じ場所を見ながら情報を更新したいならCosense(旧Scrapbox)が向いています。
比較2:共同編集の利便性
大前提、チーム利用を前提にするなら、Cosense(旧Scrapbox)の方が始めやすいです。
Cosense(旧Scrapbox)はリアルタイム共同編集に対応しており、複数人が同じプロジェクト内でページを書いたり、追記したりできます。URLを共有すればページにアクセスしやすく、社内Wikiやプロジェクトメモとして使いやすい設計です。
Obsidianでも、チーム利用ができないわけではありません。
Obsidian Syncには共有Vaultの機能がありますし、GitでVaultを共有する方法もあります。Obsidian Publishを使えば、ノートをWebサイトとして公開することもできます。
しかし、Obsidianはもともと個人のローカル環境を中心にしたツールです。チーム全員が同じ感覚で気軽に書くには、設定や運用ルールが必要になります。
チームのナレッジ共有をしたいならCosense(旧Scrapbox)
個人の思考環境を作り、必要に応じて共有するぐらいの用途であればObsidian
といったように選ぶとよいと思います。
比較3:Markdown資産として残せるか
地味ですが、ObsidianのノートはMarkdownで書くことが可能です。
Markdownは多くのエディタ、ブログ、静的サイトジェネレーター、AIツールで扱いやすい形式です。
たとえObsidian自体を使わなくなっても、ファイル自体は残りますし、別のエディタで開くこともできます。
一方で、Cosense(旧Scrapbox)は独自の記法を使います。
軽く書くには便利ですが、Markdownそのものではありません。Cosense(旧Scrapbox)内で使う分には問題ありませんが、ブログ記事、ドキュメント、別ツールへの移行を考えると、Obsidianの方が断然再利用しやすいです。
書いたメモを将来的に記事、資料、AIの参照データ、プロジェクト文書に転用したいなら、Markdownで残るObsidianはかなり強いです。
反対に、チームの中で読めればよくて、別ツールへの移行もあまり考えないならCosense(旧Scrapbox)でも十分です。
比較4:カスタマイズ性の高さ
Obsidianはプラグインが豊富です。
タスク管理、カレンダー、テンプレート、自動入力、データベース的な一覧表示、AI連携、Gitバックアップなど、自分の使い方に合わせてかなり細かく拡張できます。
その分、設定の難しさやとっつきづらさはありますが、これはメリットと言ってしまってよいでしょう。
Cosense(旧Scrapbox)は、Obsidianほど細かくカスタマイズできるツールではありません。
その代わり、最初からチームで書きやすい形になっています。細かい設定よりも、まず書く・共有する。この手軽さが強みです。
自分専用の作業環境を作り込みたいならObsidian。
チーム全員が迷わず使える場所を作りたいならCosense(旧Scrapbox)。
カスタマイズ性は高ければいいわけではなく、使う人数と目的で判断してみると良いと思います。
比較5:AI連携
AI連携の観点では、Obsidianの方が圧倒的に伸びしろがあります。
ObsidianはローカルにMarkdownファイルがあるため、AIツールに読み込ませやすいです。
Vault全体を知識ベースとして扱ったり、記事の下書きや調査メモをAIに参照させたりしやすくなります。
また、ObsidianにはAI連携系のプラグインもあります。自分のメモをもとに要約、質問、記事化、分類などを行うワークフローを作りやすいです。
Cosense(旧Scrapbox)もチームのナレッジが集まる場所として価値がありますが、クラウド保存の独自ツールのため、AIとの親和性はあまりよくないです。個人がローカルの知識資産をAIと組み合わせて柔軟に使うという点では、Obsidianの方が扱いやすい場面が多いでしょう。
比較6:料金比較
料金を見るときは、無料か有料かだけでなく、「何にお金がかかるのか」を見るのがポイントです。
Obsidianは、個人利用は無料です。同期したい場合はObsidian Sync、Web公開したい場合はObsidian Publishが有料になります。公式料金では、Syncは年払いで月4ドル、月払いで月5ドルから。Publishは年払いで月8ドル、月払いで月10ドルからです。
Cosense(旧Scrapbox)は、公開プロジェクトは無料で利用できます。非公開で使う場合、Personal / Educationは無料、Businessは月額税込1,100円/ユーザーです。
個人でローカル中心に使うなら、Obsidianは無料で十分ですし、同じく個人利用が前提であればCosense(旧Scrapbox)も無料で利用可能です。
両者とも料金に大きな違いはありませんので、料金だけで選ぶより、「個人の知識資産に投資するのか、チームの共有環境に投資するのか」で選ぶことが重要です。
併用するなら役割を分ける
ObsidianとCosense(旧Scrapbox)は、必ずしもどちらか一つに絞る必要はありません。
併用するなら、役割を分けるのがおすすめです。
- Obsidian: 個人の思考整理、読書メモ、下書き、AI連携、長期保存
- Cosense(旧Scrapbox): チーム共有、プロジェクトメモ、社内Wiki、共同編集
たとえば、個人のアイデアや調査メモはObsidianに残し、チームで共有する必要がある内容だけCosense(旧Scrapbox)に書く。この分け方なら、Obsidianの強みであるローカル管理と、Cosense(旧Scrapbox)の強みである共同編集を両方使えます。
逆に、個人メモもチームメモも全部同じ場所に入れようとすると、どちらのツールでも運用が重くなります。ツール選びで大事なのは、機能を比べることではありません。
どこまでを自分の思考として持ち、どこからをチームの共有知識にするか。
この線引きが決まると、ObsidianとCosense(旧Scrapbox)の使い分けも自然に決まります。
まとめ:個人の思考ならObsidian、チームの共有知ならCosense(旧Scrapbox)
ObsidianとCosense(旧Scrapbox)は、どちらもリンク型ノートアプリです。
Obsidianは、個人の思考を深めるためのツールです。ローカル保存、Markdown、プラグイン、AI連携、グラフビューなどを使いながら、自分だけの知識環境を育てられます。
Cosense(旧Scrapbox)は、チームの知識を共有するためのツールです。ブラウザで使えて、リアルタイム共同編集ができ、メンバーの気づきや経験を気軽に残せます。
一人で考えを育てたいならObsidian。
チームで知識を育てたいならCosense(旧Scrapbox)。
こういった風に、使う目的で選ぶツールを変えてみるといいでしょう。
