「補助金と助成金って何が違うの?」
中小企業の経営者からよく聞かれる質問です。どちらも「国や自治体からもらえるお金」というイメージがありますが、仕組みがまったく違います。この違いを知らないと、使えるお金を見逃すことになります。
結論
- 補助金は審査あり(競争)、助成金は要件を満たせばもらえる
- どちらも返済不要。ただし後払い(立て替えが必要)
- 中小企業はまず助成金を確認し、次に補助金にチャレンジするのが効率的
補助金と助成金の違い
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 審査 | あり(競争) | なし(要件充足で支給) |
| 採択率 | 50〜80%程度 | 要件を満たせばほぼ100% |
| 管轄 | 経済産業省、中小企業庁など | 厚生労働省が中心 |
| 目的 | 事業拡大、設備投資、IT導入 | 雇用促進、労働環境改善 |
| 金額 | 数十万〜数千万円 | 数万〜数百万円 |
| 申請期間 | 公募期間が決まっている | 通年申請が多い |
| 返済 | 不要 | 不要 |
| 支払い | 後払い | 後払い |
最大の違い:「審査があるか、ないか」
補助金は事業計画書を提出して審査を受ける。採択されなければもらえない。つまり競争。
助成金は要件(従業員の雇用条件、研修の実施など)を満たしていれば、基本的にもらえる。申請すれば通る。
代表的な補助金
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
中小企業がITツール(SaaS等)を導入する際の費用を補助。2026年度から名称変更。
- 補助率:1/2〜4/5
- 補助額:最大450万円(通常枠)
- 対象:SaaSの利用料(最大2年分)、導入費用など
※詳しくは「デジタル化・AI導入補助金 2026年度 完全ガイド」をどうぞ。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓を支援。ホームページ制作やチラシ制作にも使える。
- 補助率:2/3
- 補助額:最大50万円(通常枠)〜200万円(特別枠)
- 対象:広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費など
ものづくり補助金
革新的なサービス開発や生産プロセスの改善を支援。IT・WEB業界でも使える。
- 補助率:1/2〜2/3
- 補助額:最大1,250万円〜4,000万円
- 対象:設備投資、システム構築費など
代表的な助成金
キャリアアップ助成金
非正規雇用の従業員を正社員に転換した場合などに支給。
- 正社員化コース:1人あたり最大80万円
- 賃金規定等改定コース:1人あたり最大6.5万円
雇用調整助成金
経済的な理由で事業活動を縮小した際、従業員の休業手当を補助。
- 補助率:中小企業は2/3
- 対象:休業手当、教育訓練費
人材開発支援助成金
従業員の研修・教育訓練を行った場合に支給。
- 研修費用の一部+研修中の賃金を補助
- IT研修、マネジメント研修なども対象
うちはどっちを狙うべき?
助成金を狙うべきケース
- 従業員を雇用している(または雇用予定)
- 非正規社員の正社員化を検討している
- 従業員の研修・スキルアップを計画している
- 労働環境の改善(賃上げ、労働時間短縮等)を進めている
補助金を狙うべきケース
- ITツール・SaaSを導入したい → デジタル化・AI導入補助金
- ホームページを作りたい → 持続化補助金
- 新しいサービスや製品を開発したい → ものづくり補助金
- 大きな設備投資を計画している → ものづくり補助金
両方狙えるケースも多い
助成金と補助金は併用可能(同じ経費に対する二重受給はNG)。
例:デジタル化・AI導入補助金でfreeeを導入(補助金)+新しく雇った経理担当を正社員化(キャリアアップ助成金)。このように異なる経費・取り組みであれば同時に活用できる。
補助金・助成金の探し方
1. J-Net21(中小企業基盤整備機構)
中小企業向けの支援情報を網羅的に検索できるポータルサイト。地域・業種で絞り込み可能。
2. ミラサポplus(中小企業庁)
国の補助金・支援制度を横断検索できる。
3. 各自治体のサイト
都道府県・市区町村独自の補助金・助成金がある。「〇〇市 補助金 中小企業」で検索。
4. 商工会議所・商工会
地域の商工会議所に相談すれば、自社に合う制度を教えてもらえる。持続化補助金の申請窓口でもある。
5. 顧問の税理士・社労士
税理士は補助金、社労士は助成金に詳しいことが多い。顧問契約があれば相談してみる。
よくある勘違い
「助成金は怪しい」
助成金は厚生労働省が管轄する正式な制度。怪しいのは「助成金を名乗る詐欺」であって、制度自体は堂々と使うべき。
「補助金はもらえるお金」
正確には「立て替えた経費の一部が後から戻ってくるお金」。先に自己資金で支払い、実績報告後に振り込まれる。資金繰りの計画が必要。
「一度もらったら終わり」
多くの補助金は毎年公募がある。デジタル化・AI導入補助金も、前回と異なるツールであれば再申請可能(2026年度からは追加要件あり)。
まとめ
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 審査 | あり(競争) | なし(要件充足) |
| 管轄 | 経産省・中小企業庁 | 厚労省 |
| 金額 | 大きい(〜数千万円) | 小〜中(〜数百万円) |
| 難易度 | やや高い | 低い |
| おすすめ | 設備投資・IT導入 | 雇用・研修 |
まずは助成金で「要件を満たしているものがないか」をチェック。その上で、事業拡大やIT導入の計画があれば補助金にチャレンジする。この順番が効率的です。
※「中小企業の社長が知らないと損する補助金5選」で具体的な補助金を紹介しています。
※「補助金の申請代行、費用の相場と選び方」もあわせてどうぞ。
※「デジタル化・AI導入補助金 2026年度 完全ガイド」で最新の公募情報を確認できます。
